ドクターおはげさん

薄毛と戦う現役内科医の記録

AGA(男性型脱毛症)って本当に遺伝するの?

前回のまとめから

どうもこんにちは。ドクターおはげさんです。

前回は主にAGA=男性型脱毛症にどの男性ホルモンがどう作用しているのかをメインにお話しさせていただきました。

前回のまとめとしては

・AGAは男性ホルモンが原因で起きる遺伝性の疾患です!

・ジヒドロテストステロンが髪に悪さをしているよ!

・5α-リダクターゼっていう酵素がジヒドロテストステロンを作るからその酵素を阻害することで治療もできるよ!

ってことでしたね。

今回も前回に引き続きAGA=男性型脱毛症の発症機序についてまとめていきます!

今回はホルモンの受容体についてと、AGAの遺伝性についてです!

読むのが面倒な人はまとめだけ読んでくださいませ!

 

男性ホルモンの受容体について



ちょっと専門的な話になるのでついてこれる人はついてきてください。
よくわからない人は鼻ほじってスルーしててください。

前回は主にホルモンのお話をさせていただきましたが、今回はその受容体のお話から。

そもそも受容体って??って思った方もいますよね。

体の中では男性ホルモンも含めてホルモンという様々な機能を持った物質が作られています。

ホルモンは身体の特定の器官で作られて、それが体内を循環して別の細胞で効果を発揮するというものです。

まぁ簡単に言うと体中のいろんなところに指示を出すお手紙みたいなものですね!

例えば有名どころで言うと"インスリン"というホルモンがありますね!

"インスリン"はすい臓で作られて血中をめぐり、全身の細胞の受容体に作用することで、血液中のブドウ糖を取り込んで血糖値を下げる働きをします。

すい臓が"インスリン"という「ブドウ糖をとりこんでください!」っていう内容のお手紙を全身の細胞に出すんですね。

そしたら全身の細胞が「おかのした!」

と言って血液中のブドウ糖を取り込んで血糖値を下げてくれます。

そのお手紙を受け取る部分が受容体ってことです。

つまり受容体っていうのは、そのホルモンが効果を発揮するときにそのホルモンを受け取る部分の事で、ホルモンがあっても受容体がなかったらホルモンは作用できないのです!

AGAの若い男性は、薄毛でない人の頭皮に比べ、細胞内の5αリダクターゼのレベルが高くアンドロゲン受容体の量も多くなっているという報告があります。

ようはAGAの人は5α-リダクターゼがテストステロンをジヒドロテストステロン(髪の毛に悪さするやつ)にめっちゃ変換するし、髪の毛もジヒドロテストステロンを受け入れて弱くなりまくるよ!ってことです。


AGAは遺伝するの?

よりミクロ的にAGA発症の原因を突き詰めると、遺伝子のお話になってきます。

AGAは遺伝性といわれている報告も多くあります。

AGAと無関係に皮膚科で行われた研究では、薄毛の父親を持つ男性はそうでない人と比較して5倍以上AGAのリスクが高いという報告もあるくらいです。

また、実際にAGAに関与するであろう遺伝子も同定されているということもあり、遺伝性があるのはある程度明白です。

個人的にちょっと面白いのが、X染色体上の遺伝子もAGAに関与するものが同定されているところです。

男性は性染色体の配列がXYなので、X染色体は基本的には必ず母親から遺伝されます。

女性の性染色体の配列はXXとなります。

もしその母親の父親がX染色体上に薄毛遺伝子をもっていた場合、母親の持っている2本のX染色体の少なくとも片方は薄毛遺伝子を持ったX染色体となるわけです。

そしてその2本のX染色体の片方が男の子に遺伝していくと考えると。。。

あとはわかりますね?

AGAは母方の遺伝を受けやすいというイメージが世間的にはあると思いますが、その原因はもしかしたらこのX染色体上の遺伝子かもしれませんね。

実際AGA治療で患者さんに接すると薄毛の家系の方が多い印象を受けます。

ドクターおはげさんも母方の家系が薄毛どころかつるっぱげ家系です:)

 

まとめ

・AGAの人は5α-リダクターゼがめっちゃ作用するし、髪の毛も男性ホルモンの影響を受けやすくなってるよ!

・AGAは遺伝性で、一部同定されている遺伝子もあるよ!

当ブログのテーマ 

当ブログは実際にAGA治療を患者としても、医師としても実践しているDr. ハゲがリアルなAGA情報をお届けするブログです。

コンプレックスビジネスの闇と向き合い、市場の健全化をはかりながらコンプレックスの終着点を探していくことを目的としています。

当面の目標

色々と書いてきましたが、AGA患者としての立場から考えて、AGA治療は医学的なエビデンスの視点とコンプレックス要素によるQOLの視点という複合的な要素があるため非常に難しい医療だと感じています。
ただガイドラインに沿って薬を出すだけ、ましてやガイドラインにないエビデンスもろくにない高額な治療を、ろくな説明もせずに提供する悪徳なクリニックが多い中で患者さん側の需要をしっかりと満たせているクリニックがどれほどあるのかと考えてしまいます。

そんな中で業界の健全化をはかりたくて情報発信を始めました。


読者の皆様に良い薄毛ライフが訪れることを願って活動させていただきますのでよろしくお願いいたします!

※当ブログでAGA治療を謳った商品のアフィリエイトやクリニックの宣伝を行うつもりは毛頭ありません。業者様からのご連絡はお断りいたします。

※書籍の紹介の際などには一部amazonアフィリエイト等をつけさせていただく可能性もありますのでその際はそちらからご購入いただけると励みになります。よろしくお願いします!